ALLERGIES
専門医に聞いた!
子どものアレルギーと予防の話
アレルギー発症についての正しい知識や、アレルギ
ー予防法として注目されている「予防スキンケア」
など、
大切な赤ちゃんのためにぜひ知ってもらいた
い情報をまとめました。
知っていますか?増えている子どものアレルギー
厚生労働省の調査結果によると、日本で暮らす人の約2人に1人は、何らかのアレルギーにかかっており、その数は年々増加傾向にあります。また、アレルギーは、乳幼児期から小児期にかけて発症することが多いといわれています。
子どもが食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギーになった場合、食べ物が制限されたり、アレルギーの原因となるものを身の回りから除去したりと、生活にも大きく影響が及びます。
さらに、乳児期にアトピー性皮膚炎になると、成長にともなって食物アレルギーやぜん息など次々に他のアレルギーを発症する「アレルギーマーチ」を起こす確率が高まることもわかってきました。
アレルギーは遺伝だけではない!?
「家族の誰もアレルギーは持っていないから大丈夫」と思っている方も多いのではないでしょうか。アレルギーの原因は遺伝だけではありません。ご両親にアレルギーを持っている人がいなくても、子どもだけがアレルギーを発症することもあります。
では、どうして子どもがアレルギーになってしまうのでしょうか。「妊娠中や授乳中に卵や牛乳を摂りすぎたから?」「部屋の掃除をしっかりとできなかったから?」などと悩む方も多いと思います。
しかし、アレルギー予防法については、今まで当たり前だと思われていたことが、最新の研究で次々とくつがえされつつあるのです。
皮膚からアレルギー原因物質が入る?
この十数年間でアレルギーについての研究が大きく進歩し、新たな常識となり得る発症原因が見えてきました。
「アトピー性皮膚炎」の発症原因
「アトピー性皮膚炎」は、かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される病気です。バリア機能が低下した湿疹やかさつきのある皮膚から、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルギー原因物質が侵入して免疫細胞と結びつくことで、アレルギー性の炎症が引き起こされます。
「食物アレルギー」の発症原因
食物アレルギーはこれまで、主に口から摂ったアレルギー原因物質が腸で吸収されてアレルギー症状を起こすと考えられていました。しかし、近年の研究結果から、バリア機能の低下した湿疹やかさつきのある皮膚から食べ物の成分が入ると、身体がそれを敵だと思い込んで攻撃するための抗体を作り、次にその食べ物を口にしたときに抗体が反応してアレルギー症状を起こすこともあることがわかってきました。
つまり、皮膚の湿疹やかさつきを防ぐことが、アレルギー予防の第一歩なのです。
アレルギーを予防する「予防スキンケア」
赤ちゃんの肌はスキンケアしなくてもよいと思われる方もいるかもしれませんが、実は、皮膚の厚さが大人の半分ほどしかなく、角質細胞が小さくふぞろいで「バリア機能」が未熟です。肌内部にうるおいをとどめる力が弱いため湿疹やかさつきが起こりやすく、アレルギー原因物質などの外的刺激を受けやすい無防備な状態なのです。
湿疹やかさつきのある皮膚からのアレルギー原因物質の侵入を予防するため、生まれてすぐから、洗浄料で清潔にした肌を保湿剤で保護してバリア機能をサポートし、すこやかな肌を保つことがとても重要です。このような赤ちゃんのスキンケアの考え方が「予防スキンケア」です。
- 湿疹やかさつきのある皮膚が「アトピー性皮膚炎」や「食物アレルギー」の発症原因になることもある
- 赤ちゃんの肌はバリア機能が低く、湿疹やかさつきを起こしやすい
- 洗浄+保湿の「予防スキンケア」でバリア機能をサポートし、すこやかな肌を保つことが大切